[PR]子育てママさんへ:3年毎に15万円うけとれる女性保険?

「赤松太平記」
次の章へ 前の章へ  赤松太平記目次へ  トップページへ
第11章・おもいこみ
注・やや、きわどい表現があります

夜。
加古川の播磨守護所。

奥向きの雑用にも慣れてきた『つぶら』だったが、
今夜の用は少し違った。
守護代・平 七郎佐のところに、夜着を持っていけというのだ。

送り出す、古参の女官のニヤニヤ笑いを気にしながら、
『つぶら』は、守護代の座所にむかう・・・・



「よくきたな、『つぶら』」
「はい・・・・」

この男だ。
赤松さまが探りを入れろといっていたのは・・・

そんなことを思う間もなく、平 七郎佐の言葉が飛んだ。
「さあ、その手で、着替えさせてくれ」

・・・・はあ?????

「はずかしがることはない。
 いや、はずかしがるから初々しいのか・・・」
七郎佐は、『つぶら』の背後にまわり、
その節くれだった手が、胸に腹に、そして・・・

そのとき、なにやら外が騒がしくなった。
「なにごとだ?」

「どけっ! おれは赤松 茂利!
 おれは盗賊を殺してきたばかりなんだ!
 邪魔すると容赦はしない!
 守護代どのに申し上げたきことあり!」

と、若者の声がした。

(赤松・・・だと?)

「そして、おれは、赤松 小三郎!
 姉上に危機迫るとの知らせあり!
 真偽を今すぐ確かめたい!」

こちらは、若者というよりは、少年の声だ。

「兄上さま!! 小三郎!」
と、『つぶら』が、叫ぶ。

「きさまら、どこから入っ・・・うわ!!」
肉を張る音がした。
七郎佐配下の誰かが、
廊下に倒れこんだようだ。
騒ぎは、ついに守護代の座所に近づいて・・・



対面した。

赤松 茂利は、初めて平 七郎佐の顔を見た。
悪相だ。

赤松 小三郎と名乗った少年は、
平 七郎佐の顔を見て、
見覚えがあると思った。

そして、平 七郎佐は、
この少年に、たしかに、見覚えがあった。
まだ、自分が一介の御内人だったころ、
六波羅探題南方で・・・・

(なんということだ! この方は、
 赤松村におられるはずの「玉(ぎょく)」・・・!)

七郎佐は呆然とし、
『つぶら』は、その悪しき腕(かいな)を逃れえた。

「小三郎・・・」
「姉上」
少年と『つぶら』は抱き合った。


(まさか・・・・ではこの「小娘」は、
 この「玉」の姉上、
 あのお方の娘御・・・)




座所の周りは、急を知って駆けつけたものたちが、
手に手に武具をもって、この狼藉ものたちをどうしようかと、
思案にくれていた。
どうやら、この二人の男は、
暗殺者でもなんでもなく、
ただ、きょうだいの身を案じてやってきたようなのだが・・・・

平 七郎佐が、おごそかな声で指令を下した。
「ものども、下がれ。
 この二人は、我の客人じゃ。
 無礼はならぬ」

それに対し、配下の一人が
「無礼はこのものどもでしょう。
 お客人なら
 抜け道など使わず、
 正門にこられて、取次ぎをお頼みくださればいい」
と、言ったが、

「おおかた、取次ぎに無礼があったのであろう・・・」
と、ごまかした。



守護代の座所。
今ここには、四人しかいない。
平 七郎佐、赤松 茂利。
そして・・・・この姉弟。
ほかのものは遠くに遠ざけられていた。

平 七郎佐は、自分がとてつもない過ちを犯したことに気がついた。
(恐れ多いことをしてしまった・・・)

先の六波羅南方長官・北条時輔には、
側室との間に1人の男子、
正室・小山氏との間に2人の男子、1人の女子がいた。
(注・筆者の推測、設定です)

側室の子は、元服し「時朝」と名乗り鎌倉の幕府に仕えたが、
六波羅南焼失、即ち北条時輔の死後、どうなったかは分からない。
小山氏の男子のうち一人は早世した。
次に生まれた女子が、今『つぶら』とよばれている少女。
次に生まれた小山氏の男子が、いま小三郎と呼ばれている少年・・・

相模式部大夫・北条三郎時輔の三男、北条小三郎。

(得宗家の方に、無礼を働くところであったのだぞ、このわしは!!)
御内人・平 七郎佐は、自分を殴りつけたい気がした。

「赤松どの・・・妹御はたしかにお返ししよう。
 今日の狼藉のことも、自分としては
 わすれることにする」

「それは・・・・どうも」

「だが、条件がある」

「?」

「その弟御・・・小三郎どのと、
 二人だけで話がしたい」

「なに! そんなことは・・・」

「その目はわしが、
 今夜の意趣を返すため
 小三郎さま
 害すると思っている目じゃな!
 そんなことをするわけがなかろう!
 このわしが、御内人のこのわしが!!」

「・・・・」



平 七郎佐は、アジサイの見える庭に出た。
そばには、「小三郎」だけ。

七郎佐は、平伏した。
「もうしわけございませぬ!!!
 あなた様のお顔は存じておりました。
 だから、赤松村にかくまわれていることを探り出したときは
 本当に狂喜せんばかりでした!
 
 しかし、姉上様は女性(にょしょう)の身、
 深窓でお育ちなされたゆえに、
 お顔をぞんぜず・・・」

「気にするな。
 そなた、六波羅の父上に仕えていたのか?
 どうりで見覚えがあるはずだ・・・」
小三郎は、
久しく忘れていた、
かしずかれる者としての態度を取り戻した。

「はい。わが忠誠は得宗家のみにささげましてございまする」

「おれにもか」

「むろん!」

「そうか・・・!
 うれしいぞ!
 ならば、おれをあの村から
 はやく連れ出してくれ・・・!」

「赤松の者どもは、
 あなた様を大切に
 あつかってはくれないのですか?」

「ああ・・・まず、おれに武士を捨てろといった。
 さもなくば、命奪われると。
 いやだといったが、
 おれには3つの道しか残されていないと言われた。

 出家し、学問の道を志すか?
 おれは断った。

 ならば、土を耕すか?
 いやだといった。

 結局、しばらくは金出地(かなじ)の鉱山で働かされた。
 製鉄を習い、刀鍛冶の手伝いをすることもできたからな。
 おれはそのなかで、武士になる機会を求めた。

 姉上が赤松家のために、
 この屋敷に乗り込んだ。
 おれは、それを送る赤松 茂利と共に、
 九条家の番役をした・・・

 ふん、シラミのわいた詰め所はもうこりごりだ。
 兄弟ごっこもな・・・」

平 七郎佐は、痛ましい顔をした。
「もうしわけございませぬ。
 私にもう少し力があれば、
 極楽寺流にあのような無体(二月騒動のこと)は
 させなかったものを・・・・」

「ああ、やつらは父上の命を奪おうと・・・」

「お父上はそのアジサイの下に眠っておられます」

「なに・・・?」
小三郎は、裸足のまま庭に下りた。
そして、アジサイの前に、ぬかずいた。
「お会いしたかった・・・!
 父上、こんなところに・・・」

七郎佐も、泣いた。
「・・・小三郎さま、いましばらくご辛抱くださいませ。
 赤松の地は、公家のもの、
 われら幕府のものの力が及ぶところではございませぬ。
 ・・・・されど、幸か不幸か、蒙古の影が我が国に迫っておりまする。
 外敵の前には公家も武家もない、
 そのようなお触れも出ております!

 小三郎さまの、ご無念、
 赤松の やつばらに受けた屈辱は、
 この七郎佐がお晴らしもうす。

 おのれ赤松茂則、茂利。
 やつらの命、うばいまする。
 そうなれば、赤松家は弟たるあなたのもの。
 その後、私が執権・時宗さまにおくちぞえし、
 赤松の地を幕府に編入します。
 あなた様は御家人となり、
 ころあいを見計らって、時輔さまのお子だと名乗り出るのです。
 鎌倉に凱旋なさいませ・・・」

「ああ・・・!!!
 それぞ、このおれの求めるもの!!」

二人は、高揚した。



帰り道。もうすぐ夜が明ける。

守護所から借りた馬の上に、『つぶら』がいた。
馬を引くのは赤松 茂利。

そして、不満そうに小三郎がついていった。

三人は、西の赤松村を目指した。

『つぶら』が言った。
「兄上様には申し訳ないことをしました。
 結局、お役には立てず・・・」

茂利が答えた。
「気にすることはないよ。
 大兄上だってわかってくれるさ。
 だれが『つぶら』を犠牲にして、
 御家人なんぞになりたがるものか」

『つぶら』は、答えた。
「はい、おやさしい方ですから・・・
 今夜のことで決心がつきました。
 赤松村にかえったら、私の気持ちをお伝えします。
 私の好きなお方に。
 わたしのだんなさまになって欲しいと」

茂利は、血がたぎってくるのを感じた!
「ああ、つぶら!
 言ってくれ、今すぐ!
 おまえは赤松のために危険もいとわなかった。
 それもすべては、ほれた男のため!」

「はい、大好きです! 茂さまが!!」

「そうか! そんなにまで『つぶら』はこのおれを・・・・
兄上を!?

(以下しばらく回想)

「そうですとも!
 わたくしはぜひとも
 赤松様のお役に立ちたいのです!」

「お兄様っておいくつなんですか?」
「ああん? オレは25だ」
「いえ、すいません、そうじゃなくて茂則さまの・・・」
「え? なんでそんなこと、知りたがるんだ?」
「・・・・・」
「ま・・・まあ、いいか。
 兄上は50才だよ。」
「そうですか・・・」

(乳母になる名誉なんていらないわ。
もし、あたしがお乳をあげるとしたら、それは赤松さまのお子よ。
赤松さま、今ごろ何を・・・・)

(回想終わり)


(こ・・・このおれじゃなくて50才の兄上を〜〜〜〜〜〜!?????
赤松 茂利、25才。
道中で、派手にずっこけた。



こ・・・・こんにちは。
解説役のPC円心です。
よもや、だれがこんな「剣客商売」みたいな展開を予想したでしょうか。
って、もうみなさん、前の展開忘れていますね(涙)。
作者の自業自得ですが・・・・




いちおう解説しておくと、
平 七郎佐
小三郎
つぶら

・・・は、フイクションの人物です。
まあ、小三郎は半フィクションというべきか・・・
文中にも書いておきましたが、
北条時輔の子供の名前、そして子供の母親は、基本的に不詳です。
三男一女としたのも、フィクションですのでお間違えのないよう・・・

北条 時輔が小山 長村の娘を正室にしたのは事実です。
時輔の息子「時朝」は
系図纂要のみに載っています。常陸介だそうで。
(息子がいるというのは、桓武平氏の系図にも載ってるそうで)

時輔には、もう一人息子(次男らしい)がいて、
名前は不詳ですが、正応3年(1290年)11月、
三浦介入道を頼って現れた所を生け捕りにされ、
首を刎ねられたそうです・・・・・涙

さてさて、こうして、『つぶら』は赤松 茂則にプロポーズするわけですが、
それは次回のお楽しみ!!
次回っていつなんでしょうか。
また9ヶ月インターパルがあったりして・・・・うう。
次の章へ

赤松太平記目次へ
トップページへ
[PR]看護師の好条件転職情報なら:転職成功させてハッピーな毎日♪